Thursday, December 30, 2004

NECソフトが中国でのオフショア開発に失敗で20億円の損

NECソフトは中国でのオフショア開発に失敗し、多額の損失を出した。中国に発注していたJavaによる大規模な販売物流システムの開発が難航し、このプロジェクトだけで上半期に約10億円の損失を出した。下半期と合わせると損失は20億円程度に膨らむ模様だ。オフショア開発は、コスト削減を目的に海外のソフト会社へ開発を委託すること。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/NEWS/20031024/135886/

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 人件費の安い中国に、生産拠点を移す製造業と同じように、実はコンピュータの世界でも開発拠点を中国に求めるパターンは多いのです。
 以前は、インドに発注するパターンも多かったようですね。

 このニュースから2つのことが読み取れるのです。

1.オフショア開発を進めるにあたっては、今までの日本の下請けソフトハウスに発注するのと同じ感覚で発注するのは非常に困難。

 それは、言葉の壁、文化の違い、開発拠点との距離の
問題などが原因として挙げられる。
 ただ、それは開発「管理」のスキルでカバーが可能だし、事実そうすべき。
 今回は不幸にもNECソフトのこのプロジェクトにそれだけのスキルが備わっていなかった、ということ。

 実は私の関与している企業でも、中国へのオフショア開発を行っていて、連絡体制の整備は必須の課題となっているのです。

 2.オフショア開発でもなぜ中国でこの問題が起こりやすいのか。それは、現在の入国管理行政も一部影響している。

 オフショア開発を行うのであれば、連絡窓口としてのコーディネータを配置するのが望ましい。それも、ある程度のシステムスキルを持ち、窓口となる国の言語に堪能で、その国の文化を理解している。。となると、中国での開発ならば、日本人でその役目を担う人材はなかなかいないのではないだろうか?

 逆にインドならば、開発に携わる人材に限定すれば、英語でのコミュニケートは可能、欧米のビジネス文化にも精通している、ということで、「共通言語」と「共通ビジネス基盤」を持つことになるので、作業がすすめやすく、日本人がコーディネーターとなることができる。

 とすると、中国での開発の場合、必然的に中国人のコーディネータを当てることになるのだが、現在の入管行政では外国人の就労については一定の制限を課しているため、容易に日本にやってこれない。仮に日本に滞在できる中国人の場合は、人件費が非常に高いため、コスト削減の目的でのオフショア開発にはうまみが出ない。

 ということで、いわゆる人材不足の分野となっているのだ。

 この「コーディネータ」をいかなる場合でも確保できなければ、オフショア開発は成功しない。

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