Sunday, March 13, 2005

人事制度---報酬制度

 報酬制度
 

 報酬制度のあるべき姿

 オープンであること
報酬決定の仕組みが周知されており、社員の誰にも自分の報酬がどのように決まっているのかが明らかにされていることが必要です。
どのような行動を取れば自分の報酬がアップするのかがわかっていれば、社員はより意欲的に仕事に取り組むことができるでしょう。
また、会社が公正に報酬の決定をしていたとしても、どのように報酬が決められているかがブラックボックスになっていれば、会社に対する疑念を抱かせてしまいます。

 公正であること
報酬の決定方法が、主観的・恣意的ではなく、客観的であり公正だと社員が認識できることが必要です。
”公正”の基準には次の3つがあります。

(1)垂直的公正さ
 困難で責任の重い職務や役割を果していたり、会社への貢献度が高い人は、その度合いに応じて高い報酬を得ていること
(2)水平的公正さ
 同程度の仕事をしていて、会社への貢献度が同じくらいの人であれば、同程度の報酬を得ていること
(3)対外的公正さ
 世間相場を反映した報酬を得ていること

 

 報酬の内訳

報酬の基本部分は、「給与(賃金)」と「賞与(一時金)」から成り立っており、突き詰めて言ってしまえば、報酬制度は「給与」と「賞与」の組み合わせの仕方によって規定されます。

この2つは、単に支払い方が違うだけのようにも思えますが、法律的にはまるで性格が異なります。

給与は生活の基盤となるもので、法律によって様々な保護がなされています。
もちろん、給与の額を簡単に減らすことはできません。
それに比べ、賞与は必ずしも支払う必要はありません。(あらかじめ払うと約束していたものを支払わないのは違反ですが)

年俸、インセンティブ給、成果給・・・ 報酬には様々な名称が使用されますが、それが給与なのか賞与なのか、明確に区別しておく必要があります。

 

 給 与

毎月支給される給与は、「基本給」と「諸手当」で構成されるのが一般的です。

基本給は、給与の基本部分を構成するものです。会社の考え方や業務の性格によって、能力や職務、役割、責任の重さなど、何に対して支払うのかという定義は異なってきます。

手当は、個別の状況に対応し、基本給に付加して支給されるものです。
手当には、生活配慮的なもの(家族手当、住宅手当、地域手当など)、人事管理目的によるもの(単身赴任手当、資格手当、精・皆勤手当、出向手当など)、基本給の補完的役割を果すもの(役付手当、危険手当、交代勤務手当など)、労働量の多寡に応じたもの(時間外勤務手当、休日出勤手当、営業手当、呼出手当など)があります。
業績と給与の関連を強めていこうとする風潮の中、特に生活配慮的な手当は存在意義が薄れてきており、また数多くの手当が存在することが報酬制度を複雑にしているため、諸手当を廃止・統合や再構築する流れが一般的になっています。

 

 賞 与

賞与は、一般的に次の役割を担うとされています。
・会社の利益の社員への分配
・会社への貢献に対する報償
・生活給の一部(給与の後払い)

 会社にとっての賞与とは、
・社員の生活の安定を考えると、会社の業績が上下しても、給与はあまり大きく変動することはできません。それに対して賞与は、業績が好調なときは一時的に増額でき、業績が悪化したときは一時的にカットできる、つまり、人件費の弾力化を可能とし、それにより経営の安定と雇用の安定に寄与するものです。
・給与では、生活への影響度を考えるとなかなか大きな格差をつけることができませんが、賞与は臨時収入的な性格であることから、人事評価に応じた思いきった格差をつけることが可能であり、それにより社員の仕事へのインセンティブを高めることができます。

 

 年俸制についての注意点

最近「年俸制」を導入している企業が増えていますが、かなり誤解が多いようです。(そもそも「年俸制」についての明確な定義というものもないのですが)

「年俸を○○○万円とし、その1/16を毎月○日に、2/16を6月と12月に支払う」という文言をよく見かけますが、この記述だと6月と12月に支払う分もあらかじめ定められた「給与」とみなされ、支給額の削減はできません。

また、年俸制であっても、残業代は支払う義務があります。あくまで所定の労働条件に則っての年俸額ですから(例えば週休2日、1日の所定労働時間8時間)、それを超えた部分は、支払わなければなりません。月額には基本給と所定の残業時間分の残業手当を含むということで、規定等に定めた上給与明細でも明確に区分して支払っている場合は、実際の残業時間がその所定の残業時間を超えない限りは問題ありませんが、超えた場合はその超過分の残業手当を支払わなければなりません。

それから、上の例でいえば2/16の分を、いつからいつまでの算定対象期間分として支払っているのかが不明な場合も見受けられます。この場合、中途入社する月によって不公平が生じるようでは問題です。必ず、明確にしておきましょう。

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